2012.07.



 私の誕生日にママが財布をプレゼントしてくれた。
長年愛用している茶色の折り畳み式の財布は、中の紙幣も心なしか糊のきいてないシャツのようにくたびれた感があり、人前に出すのを気にしていた。
ママは「私がだらしないと思われるから」と半分本気ともとれるまなざしを包みと一緒に贈ってくれた。
プレゼントの中身はチャック式の黒い長財布だった。
ママには以前それとなく伝えていたのだがちゃんと覚えていてくれた。
ありがとう。これならシャキッとしたお金が出せるよとお礼を言った。

 仕事や家事で忙しい毎日、旭を基準にした生活は想像以上に慌ただしい。
その最中の心配りが嬉しい。
家族3人構成で「3」番目を自負している私は「自分のことは後まわしでいいよ」と自然と思う。
子育て奮闘中の世の男性陣も気持ちは同じはずだ。
自分にできるとしたらと思う気持ちはこういったところに現れる。

 そんなクセのような思考は時としてアダとなるときもある。
考えが受け身になり、ママから言われたことしかやらなくなる。
アンテナ3本立てて向き合わなくちゃいけないのに1本の私の行動はママの願いにかなわず火種を残すことに・・・
「オムツ変えよっか?」とか「明日のゴハンどうする?」など、言われる前に自分で判断したらいいのについ指示待ちしてしまう。
こうなったら黄信号。
子供が言う事きかなかったり仕事のストレスがたまったり、そんな小さなことが積み重なるとこうなる。
「私も疲れて帰ってきて眠いのに、パパはゴハンを食べて後片づけもせずにスグに横になって寝た。」
・・・ホント、反省の一言に尽きる。

 酒席で友達にそんなつもりじゃなかったんだと言い訳がましくこぼすと、よくわかるよと同情してくれた。
だから俺、嫁の顔色伺いながら子育てしてるよ。
帰宅してママの顔色を伺ってみる。
気配を察したのか、通販カタログのページをめくりながら言った。
「今年の夏は浴衣で司会しようかな。」
もうすぐママの誕生日です。
昇より



















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