2013.10.



 家族旅行で愛媛県松山市へ。
FMの取材で訪れて以来だから9年ぶりだ。
柳井からのフェリーでママとそんな話をしながら瀬戸内海に佇む島々を眺めると落ち着くと書きたいが、船内を遊び回る乗り物好きの「坊っちゃん」に手を焼き、どころではなかった。
三津浜港にひょいと降り立ちバスに揺られ松山市内へ。
突然旭が「あっ!ゴメンデンシャ」と叫んだ。
指差す方を見るとそれはオレンジ色の「路面電車」だった。
えっ? ガタンゴトンじゃなくてゴメンゴメンと走るの? と空想して思わず吹き出す。
長く続く大きなアーケードにはたくさんの「俳句」が飾ってあった。
「ばった跳ぶ 虫かごみたいな僕の部屋/小学2年生」
色んな俳句を読み歩くと楽しい。
ここは正岡子規を生んだ街なんだと感じる。
細い路地に入り老舗の鍋焼きうどんや「ことり」を再訪。
取っ手の付いた小さなアルマイト鍋に肉とねぎとナルトと卵焼きが相変わらず入ってて嬉しくなった。
美味しい。
庶民の味がする。
駄々をこね始めた旭を肩車してアーケードを練り歩く。
信号待ちしていたら大きな狸の銅像を発見した。
思い出した。
ここで女子中学生たちにインタビューしたんだっけ。
ママに話を向けると「今治から来た子たちだったよ。」と返ってきた。
たぬきの前で記念撮影。
松山城へと続く途中に立ち寄ったお店でミカン100%アイスを食べる。
美味しいものは子供にも分かるのだろう。
ニコニコ顔で食べている。
私の分も欲しがったのはまいったが…松山城へはロープウェイで昇った。
坂道を上り何度も城門を潜って現れた天守閣の存在は圧倒的で、そこから望む松山市内の街並みは美しかった。
ここは9年前と変わらない場所。
ママと旭は城内のドングリを拾ってお土産に持って帰る。
ごめん電車に乗り道後温泉へ。
旭と宿のお風呂に入る。
旭が腰かけをブロックに見立てピラミッドのように積み重ねて得意顔でこっちを見る。
「すごいね」と褒めると今度はヒーロー戦隊物の敵役を裸でやらされた。
日常を離れ少しでも旅の気分を味わいたいのだが、旭はどこにいっても変わらない。

 部屋へ戻り食事をしている時にママが「まさか旭と一緒に来るなんて思ってなかった。不思議やねぇ。」と言った。
ほんのりと温かい気持ちが心に灯ったとき旭がおもむろに言った。
「よし!明日からここで暮らそう」

 我が家の坊っちゃんは真っ直ぐ育ってます。
昇より



















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