2016.09.



 深坂で川遊びをした夜、旭が体調を崩した。風邪でもひいたかと思ったが熱はない。気 分が悪く頭がふらふらすると言い嘔吐を繰り返すので、翌日学校を休ませ病院へ連れて行 く。風邪薬を飲ませ数日様子を見ていたがあまり良くならない。旭に聞くとめまいは治ま ったが耳がごわごわすると言う。川の水が入っているには長すぎる。どうもおかしい。個 人面談の際にも先生から「旭君耳を気にしています」と言われ、やっぱりおかしいとなり 耳鼻科へ連れて行くと「突発性難聴」の疑いがあると診断された。突発性難聴の発症の原 因は不明で、発症から一週間以内に診てもらわないと完治しづらくなり完治率が30%。 後遺症が残る場合もあり、一ヵ月放置しているとその難聴は治らないとのこと。旭は日常 会話は大丈夫だが小声が聞き取りにくい。めまいと嘔吐があったことから度数は高いが回 復も早いだろう。希望が持てるとすればそこ。2週間程投薬治療をして様子を診ていきま しょうとなった。それが夏休み直前の話。

 夏休みが始まった。この2か月色んな思い出が出来た。ママと三人でラジオ体操に行っ た。朝顔の花の数を数えたり水やりしたり、亀山の花火を見上げ平家踊りを一緒に踊った。 ウルトラマンのCDを聴きながらドライブして、お好み焼きやカキ氷を食べ、クワガタも飼 った。初めてお使いにも行ってもらった。サンドイッチに挟むチーズ。海を眺めながら食 べたね。美味しかったね。楽しかった日々がぬぐえぬ将来への不安を抱えながらの暮らし は大変だったけど旭は頑張りました。何故だ。どうして旭が、あの時こうしていたら・・・ ともすれば夫婦の危機にもなりかねなかったことを旭が救ってくれました。

「ま、だめでももう一つの耳があるもんね。」と旭が言い放った一言に私は体の芯が熱く なり、出来る事なら代わってやりたい、五体満足に戻してやってほしいと願わずにはいら れない衝動に駆られた。

 幸い、旭の耳は無事完治しました。耳元で指先をこする小さな音も聞こえ、医師から止 められていたスイミングも再開して今は元気に泳いでいます。私達もじりじりした不安や 焦燥感から解放され、泳いでいる旭の姿を見ては「良かったね」とホッと胸をなでおろし ているところです。皆さんにご報告が出来て良かった。

 今年の夏は暑く、長かったですね。
昇より


















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