2017.5.



 我が家では最近「ベランダピクニック」が流行っています。週末天気の良い日、 ベランダにピクニックシートを広げて座布団を敷いて座り、ビールやワインを飲 みながら何の気なしに眼下を行き交う人や車の流れを眺め食事をするんですが、 これが結構楽しいんです。

 11階のベランダからは、火の山や関門橋や風師山、マンションの隙間からは海 峡を渡る船舶もちょこっと見え、車の騒音も人の視線も気になりません。心地よ い風も吹き、程よい距離感でしたたかに酔うことができます。日も暮れてカラス が泣くと「近くにパン屋さんがあるんかな?」なんて言ったり、5時を知らせる 鐘の音が聞こえると「親切な街だね」なんて言ったりして、他愛もない会話を楽 しんでいます。旭は机の電気スタンドをベランダ脇のコンセントにつなぎ、その 明かりの下で「コロコロ」を読みゲラゲラ笑っています。ワインやチーズで育っ ていない味音痴な旦那が近くの酒屋でいそいそと買ってきたものを、ママが嬉し そうに食べています。TVも部屋の明かりも消し、スマホのアプリで世界のラジオ を聴いたりして、いつもとは違うほんのちょっとだけ背伸びした贅沢な時間が、 家族の成長軸にも思えてくるんですよね。夫婦同士の会話も自然と増えました。 仕事の事や家の修繕の話、両親の事や旭のこと。旭は最近悩みがあり、よく泣い ています。彼の話に耳を傾け励まし、安心させてあげようねと夫婦で話し合いま した。

 夜になると、肌寒くなるので私が酔いにまかせた「酔いまかせチャーハン」を 作ります。味は風まかせ。ドキドキの一品です。午後8時がこの会のお開き。で もその前に「関門橋スイッチゲーム」をして終わります。土曜の夜8時になると 関門橋に明かりがつきます。その瞬間を競うゲームなんですが、今回は旭が勝ち ました。8時にパッと輝く関門橋の灯りを眺め屈託なく笑う旭の顔を見ることが、 私たちへの何よりの贈り物なのです。
昇より





















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