2013.11.

「失う自由」

 友人がツイッターで秘密保護法案が採決されるというので「かさをささないシランさん」を思い出したと書いていた。
私もこの本の事を考えていた。

 雨の中、傘をささないで歩くのが好きなだけのシランさん。
多くの人とはちょっとだけ好みが違っている。
そんなのだれだってあり。
ところがある夜、家のチャイムが鳴り、やってきた警官にシランさんは突然逮捕、そして投獄。

 みんなと同じように考え、行動しないものは世界を乱すと考えた誰かが、シランさんの個人の自由をねじまげ、力ずくで排除しようとする。
バカバカしい話しでしょうか?

 この絵本は1991年に谷川俊太郎作、いせひでこの絵で出版されて、現在は品切れになっているのだが、自由や自分の考えを持つことの大切さと、それがいとも簡単に奪われてしまうという現実が描かれていて、身震いした。

 未成熟な民主主義しかまだ持ってないと言われている日本で再び逆戻りの時代がきたのだろうか。
口を閉ざすということがもはや自分の意志ではなく、どこかからの圧力でとざさざるを得ない。
考えようにもなんにも情報が手に入らない。
怖いので、自己規制してみんなと同じ意見に従う。
あー、嫌だ嫌だ!と私が叫んだら、89歳の母が「特高ってのがまた出てくるのかね?その前に隣近所で見張るんだよ、変なことしないようにね。怖いね。」とつい昨日の事のように言った。
そんな時代を知っている人が少なくなり、今や時期到来と思っている人達!
自分の孫の時代になって自由闊達な議論と世界に伍することのできる人材が育っているかどうか、考えたほうがいいと思う。

 1979年11月23日勤労感謝の日。
「こどもの広場」はオープンした。
どんな場所からもやってきて楽しみ、来るも帰るも自由なこどもの広場になりたいとおもって。
戦前は新嘗祭と言われていた国祭を、戦後それぞれの働く人たちが互いに感謝するというものに変った。
政治も祭りも何より個人が自由な考えを持つことを取り戻しつつあったこれまでだったのに。
とはいえ「本」の中に書かれている言葉がそれでもこどもの感性を育ててくれるように35年目になった広場を支えたい。



横山眞佐子











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