2015.06.

「マーシャ・ブラウンさん」

 滅多に、あれこれネットを見ないのに、ふと見たところに「マーシャ・ブラウンさんが亡くなったのですね。96歳・・」と書いてあり驚きました。4月28日。

 20年くらい前、マーシャさんが日本に来られて、下関市にある梅光学院のホールで講演会を開催しました。
参加費500円、さした宣伝もせず今のようにネットもない時代、私たちの予測は300人でした。
ところが次から次に人が押し寄せ、本当に押し寄せるという勢いで、普段は使用しない二階席もいっぱい、500人位こられたのでは。
立っていてもいいという人たち。嬉しい悲鳴はホールの床がミシッとあげました。

 マーシャさんの講演はもちろん通訳付きですが、彼女の語り口のリズムは心地よく「三びきのやぎのがらがらどん」のストーリーテリングの時にはみな通訳がなくても絵が浮かんだと思います。

 言葉の力と同時に彼女の描く絵から広がっていく、見たことがないはずなのにリアルに思い描ける世界。
物語の世界を大切に描ききることが出来るマーシャさんの作品をよく見てください。
一冊一冊違う素材、手法で描かれているのを発見されるでしょう。
力強い葦ペンのような線のものもあれば、細い繊細な引っかき傷のような線の本もあります。
木版画、水彩、グアッシュ、水墨、どの描き方も中身にピッタリ。
聴衆はみな力ある話しに魅了されました。
そして、下関市立美術館での原画展。これも沢山の大人と子どもが押し寄せました。

 私たちにも力がありました。
好奇心がありました。
面白いことや、頭や心が喜ぶことには参加したい。
若いお母さんやその子どもたち。
学生たちも先生たちも。
自分たちが主体的に動くこと、現場に行って感じることを大切にしていたような気がします。

 どんな絵本がいいのか、自分で手にして読み、買い求め子どもに読んでやる。
当たり前だけど、手触りや本の重さ、抱っこした子どもの暖かさを感じ、その子が嬉しくて笑っているのか、読んでいるお母さんの声に寄りかかっているのか、どのページに惹かれているのかを受け取れる感受性を持たなくては!
マーシャさんの本のどの一冊が好きですか?
手にとって開いて下さい。

 さよなら、ありがとうマーシャさん。




横山眞佐子











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