2017.7.

「選書会」

 5月から始まった学校の図書室に入れて欲しい本を子どもが選ぶための行事「選書会」が夏休みに入 ってひと段落。子どもの本屋って肉体労働なんだ!と身にしみて思える数ヶ月だった。何しろ毎日 500 冊近くの本を運んだり、積んだり、降ろしたり。宅配便の仕事にも匹敵するかも。それはともかく、い ろんな学校や地域で幼児から中学生まで、沢山の子供たちが本の話を聞いてくれ、自分で読みたい本を 探し、選び、そして読み耽る・・そんな光景に出会えることは、重労働を差し引いてもお釣りがくるく らい幸せな仕事をさせてもらっている。

 毎回、心に残る出来事があるのだけれど、そのうちのいくつかを。 だいたい 1人の生徒が3枚の投票用紙を貰い3冊好きな本に投票することになっているけれど、予算 のあることなので、得票数の多い順に選んでいくと一票しか入っていない本を外さざるを得ないことが 多々ある。しかし、一票に込められた読みたい気持ちは、多数の票の入っている本より大きいこともあ る。A 校で。予算ギリギリ、残った本の 中に同じ子どもの名前があった。その子しか投票していない3 冊。どれか一冊は入れてあげたい。悩んでいると、先生がやってきて3冊を見比べて「ああ、〇君ね。 絶対これよ!」とあっという間の決断。「彼は乗り物のエキスパートだからね。きっとこの本でグレード アップするつもりね!ふふふ」愉快な先生の上、チョットこだわりの強い〇君の良いところに精通!図 書館で新しい本を見つけた時の彼の笑顔が浮かぶ。

 B 校で。「選び終わったら、好きな本読み放題!」という幸せな時間になった途端、それぞれがすきな 本を持って体育館の真ん中や窓際に行って、寸暇を惜しんで集中して本の世界へ・・なんだけど、4年 生くらいの男子は行動が面白い。狭い所、隠れ家が好き?マットの積んである隙間になんと6人も。身 体をくっつけあって、一冊の本を読むのって世界を共有している感じ。そんな時は暑さなんか関係ない んだね。好きな世界にのめり込む、個人的な営みの読書も、共通の話題で一行読んでは笑い合う共感の 読書も、選書会ならでは。また来年お会いしましょうね。




横山眞佐子













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