2011.06.

「宿泊学習」


 5年生になったら、いよいよです。2泊3日の宿泊学習。

 5月に入ったころから、この日に向けて少しずつ準備を始めていました。
買いそろえるものを忘れていないか(これがわたしにとっては結構難題・・・)、そして子どもの体調管理。買い足し買い足ししながらやっと準備完了、と思ったら娘は風邪をひくやらリンゴ病にかかるやら、出足不調でした。
 親の心配をよそに、娘は毎日楽しそうに友人たちと集まって、出し物の台本を書いていました。
ひとり夜遅くまで書く日もありながら、完成させたものを学校でグループ練習している様子も楽しげで、充実した毎日に、気持ちが募っていくようでした。


 さて、出発の前日、一緒に荷物をまとめながら娘が言います。
「いままで旅に出る時は、こんなに荷物なかったよね。
 たった2泊3日なのに、こんなにたくさん・・・重っ」
と抱えた荷物ごと傾いています!
 ・・・だってこれまでは、洗面道具や身の回りの物を母さんが持って行っていたからね、あんたが揃えていたのは自分の着替えくらいだったでしょ・・・
と言いたいのを、がまんがまん。


 その夜、長い雨が止んだので、夜ベランダに出て、洗濯物を干しました。
 いつもは布団で本を読んでいる娘が、その夜は一緒に出てきて干しました。
「なんか、ちょっとだけ心配」と娘。
「なにが〜?」とわたし。
「家族が」と娘。
「心配?どうして?だいじょうぶだよ、安心して行きなさい。」
「うん、でも、なんか」と口ごもる娘。
「さみしい?」
「うん、たぶん。楽しみやけど、1くらい、さみしいかも・・・」。
「ふうん」


「1くらい、さみしい」のは100のうちの1かな、10のうちの1?それとも?
「1」はちょっぴりでもあり、全部でもあるけど、きっといろ〜んな気持ちが混ざった「1」。

「さみしい」のと同義語に「あなたを想う」ことを知っている娘。
今ではもう、幼いころみたいに、だっこしてむぎゅーとはできないけれど、隣で眠る姿を見つめながら、静かな夜があることを嬉しく感じています。


平井和枝













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