今月のエッセイ

2024年03月

あつあつココア事件

「あのね、ここあにね、ましゅまろいれてのみたいの」

ぷんぷんにおねだりされたので、おやつの時間にミルクパンでココアを淹れました。ぷんぷんの期待通りにマシュマロが溶けるよう、ちょっと熱めです。

いつもの小さいマグがちょうど食洗機に入っていてぷんぷんがしょんぼりしたので「お母さんのマグカップで飲もっか?」と、私の花柄のマグを出しました。大きなマグに半分ほどココアを注いで、マシュマロはぷんぷんとあーちゃんが嬉しそうに自分で浮かべます。

くっつくように姉妹並んで座って、いつも通りのおやつタイム。私はその様子を見つつ、夕
食の準備を始めます。
「ココア、おいしい?」「まだあつくてのめなーい」
そんな会話をしたすぐ後のことでした。
「あついあついあつい!」

台所に気を取られた瞬間聞こえてきたあーちゃんの悲鳴とぷんぷんの泣き声。慌てて二人のもとに走ると、ぷんぷんがマグをひっくり返したようで二人そろって足をココアまみれにしていました。

大慌てて浴室に連れて行き、ズボンのままシャワーで流水をかけます。水の冷たさと私の慌てる様子に大泣きする二人。そんな中でも「ごめんねぇ!」「いいよ!」を繰り返している二人が可愛いやら申し訳ないやら。

謝らなくてはいけないのは私です。いつもより熱めのココアに、大きめのマグ、危険な要素はたくさんあったのに普段の感覚で目を離してしまいました。熱くてなかなか飲めずにいたぷんぷんに味を聞いたことも、焦らせてしまった原因かもしれません。

しばらく足を冷やしたあと、大慌てでまだ開いている皮膚科を探して駆け込みました。幸い診察を受ける頃には赤みも引いているくらいの軽いやけどで、数日のうちにすっかり良くなりました。

でも二人に痛く怖い思いをさせてしまったことには変わりません。大きくなってきて、何でも自分で出来るから……私の油断が二人にやけどを負わせてしまったのだと思います。これからも大事な宝物たちを守っていくため、改めて気を引き締める出来事でした。

今月のお気に入り

『親子でつくろう!はじめてのかわいいおりがみ』朝日新聞出版
宮本眞理子・益田智子監修

やっと二人にぴったりの折り紙の本を見つけました!かわいい動物や紙小物がちょっぴり大雑把な性格のあーちゃんでも一人で作れるので、嬉しそうにせっせと作っています。

いまむらかな

いまむらかな プロフィール

大学時代に村中李衣先生のゼミで学び、在学中から 3年間、こどもの広場のスタッフとして過ごす。
2016年9月に長女あーちゃん、2018年12月に次女ぷんぷんが誕生。2児の母として奮闘中。

毎月のエッセイは
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