今月のエッセイ

2024年04月

みんなで、ひとりで、絵本の時間

春休み、久しぶりにこどもの広場へ行きました。遠方に住んでいて日常的に通うことが難しい私たちにとって、広場に行くのはとっておきのお楽しみ。「◯日に広場に行こうか」と伝えたその日から、あーちゃんもぷんぷんも「アッチのべつのおはなしをかおうかな」「ぐりとぐらのおおそうじ、ひろばでよもうね」と、あれこれ言い合っていました。

いよいよ当日。広場についた途端嬉しそうに店内を一周するあーちゃんとぷんぷん。それぞれお目当ての本を見つけたら、慣れた様子で広場の真ん中のテーブルに座って読書タイム。あっという間に読んでは次の本を探すので、欲しい本がどんどん積み上がっていきます。そんな様子を見ていて、ふと気付きました。あーちゃんが黙々と本を堪能しているのはいつものことですが、隣に座ったぷんぷんも声に出してスラスラと絵本を読んでいたのです。

つい一昨日も「よめないからえだけみてる」と言っていたぷんぷんが、一人で絵本読んでる! 驚きましたが、ひらがなもカタカナもずっと前から読めていたので、絵本も実はずっと読めていたのかもしれません。お膝によじ登っては「よんで」と頼んでくる甘えたちゃんに、すっかり騙されていました。

私があまりにびっくりしていて得意になったのか、広場に行った日以来、家でもぷんぷんが読み聞かせしてくれるようになりました。あーちゃんも読んでくれて、私も読んで、3人での新しい絵本の時間を楽しんでいます。

ちなみに、ひとり3冊の約束だった本。二人で真剣に吟味した結果、8冊買って帰りました。いつ行っても無限に欲しい本が見つかるこどもの広場は、二人にとって悩ましいパラダイスです。

今月のお気に入り

『ごぶごぶ ごぼごぼ』福音館書店
駒形克己

広場で働きはじめた時、一番最初に教えてもらった絵本。
初めは「どうしてこれが赤ちゃんに人気なの??」と疑問でいっぱいでしたが、赤ちゃんを惹きつける魔法のような魅力が詰まった本なのだと、広場にやってくるたくさんの赤ちゃんたちが教えてくれました。
だからあーちゃんがお腹にいるとわかったとき、真っ先に買ったのも『ごぶごぶ ごぼごぼ』でした。
生後一ヶ月になる少し前、あーちゃんに初めて読んでみると、吸い寄せられるように静かになってじっと見つめていた姿が印象に残っています。もちろんぷんぷんも初めての絵本は『ごぶごぶ ごぼごぼ』。音に合わせて体を揺らしたり、穴一つ一つに競うように指を入れたり、3人でたくさんたくさん読みました。大きくなった二人が読むことはほとんど無くなりましたが、いつまでも本棚に大切にしまわれた、我が家の宝物です。

いまむらかな

いまむらかな プロフィール

大学時代に村中李衣先生のゼミで学び、在学中から 3年間、こどもの広場のスタッフとして過ごす。
2016年9月に長女あーちゃん、2018年12月に次女ぷんぷんが誕生。2児の母として奮闘中。

毎月のエッセイは
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