エッセイを読む

2024年02月

コノロケ日記

「おかーさん、ことしはバレンタイン、すきなひとにあげたい」

あーちゃんに言われたのは、2月初めのこと。瞬時に頭を駆け巡ったのは、衛生面、アレルギー、つたない手作りお菓子の出来……心配事のあれこれでした。

とはいえ、私自身も元からお菓子作り好きでイベント事には燃えるタイプ。バレンタインも毎年手作りしていて、近年はやる気満々のあーちゃんぷんぷんが参加できるお菓子を作るのがお決まりになっています。結果粘土あそびのように作られてしまった型抜きクッキーは、お父さんやじいじばあばへのプレゼントにしていました。お友達にプレゼントしたこともありましたが、一番ご近所の母同士も気安い交流のあるお友達だけ。

あーちゃんの“好きな人”に喜んでもらえて、みんなが安心して楽しめるバレンタインとなると一体どうしたら……

「好きな人ってだれにあげるの?」

ドキドキしながらあーちゃんに聞いてみました。すると「YちゃんとKちゃん」あげられた名前はいつも登下校を一緒にしている仲良しの女の子たち。「あとCくんとTくんにもあげようかな」その後続いた男の子も、幼稚園から一緒の私もよく知る仲良しくんたちでした。

「そのみんなならあげられそうだね」

少し拍子抜けでしたが、あーちゃんにとってはまだまだ、好きな人=仲良しのお友達ということのようです。

せっかく仲良しのお友達にあげるなら、出来るだけ素敵なプレゼントにしたい!

色々相談して作ったのは、あーちゃんがお店で一目惚れした型のハートチョコ。袋の中が華やかになるように絞り出しクッキーも作りました。マスク手洗いにいつも以上に気をつけて作れたし、味見もして「おいしくできた」と早くも得意気。

そして当日。下校時に渡したり、おうちまで届けたり、あーちゃんの好きな人はみんな喜んでくれました。中でもCくんが嬉しそうにチョコを食べてくれている写真を送ってもらって、あーちゃんはとっても恥ずかしそうに嬉しそうにクネクネ。大成功のバレンタインに出来たかな?少なくとも私は、とっても楽しいバレンタインでした。

今月のお気に入り

『ルルとララのチョコレート』岩崎書店
あんびるやすこ作・絵 

今までも参考にしながらあーちゃんぷんぷんとお菓子を作ってきたお気に入りのシリーズ。バレンタインを頑張ると決めてからは、今まで以上に真剣に『チョコレート』を読んでいました。

いまむらかな

いまむらかな プロフィール

大学時代に村中李衣先生のゼミで学び、在学中から 3年間、こどもの広場のスタッフとして過ごす。
2016年9月に長女あーちゃん、2018年12月に次女ぷんぷんが誕生。2児の母として奮闘中。

毎月のエッセイは
ひろば通信に掲載されています

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