エッセイを読む

2023年05月

コノロケ日記

あーちゃんとぷんぷんの春の大好物と言えば、なんと言ってもいちご。赤ちゃんの頃から口の周りを真っ赤にして夢中で食べていたので、庭に小さな畑を作ったとき真っ先に植えたのもいちごでした。はじめのうちはよく分からないまま買ってきた苗を植えて、実が赤くなったら喜んで……という具合でしたが、夏の間に伸びたランナー1コから新しい苗を作るようになり、聞きかじりの知識でなんとか株をつなLい蓼で督いくこと3年。1株からとれる量は3〜4粒と少しですが、あーちゃんとぷんぷん毎春のお楽しみになっています。

今年も春先に花が咲き始めると、二人で毎日ソワソワ。「まんなかのが一番たくさんさいてる。はしっこにも、みっつも花がさいてるよ」「ほらここ、ちいさいいちごができてる!」咲いた花をかぞえて教えてくれたり、赤ちゃんいちごを葉の間から優しく持ち上げて見せてくれたり、今年は例年以上によく観察ができていたようでした。

毎日観察していると、いちごの成長にもだんだん詳しくなってきます。あまり早くに咲いた花はまだミツバチが飛んでいなくて受粉できず、実にならない。実が膨らんで真っ赤になるまでには長い時間がかかり、赤くなる前にダメになってしまうものもある。真っ赤になったいちごは見逃さずにすぐに収穫しないと先の一番甘いところから虫に食べられてしまう。

特に虫食いは二人にとって大問題で、赤くなってくると特によく観察し、収穫して
しまうか、もう少し赤くおいしくなるのを待つか、みんなで悩んでいました。ちなみにあーちゃんはおいしいいちごへの情熱が大きく、辛抱強くいちごが真っ赤になるのを待っているタイプ。一方のぷんぷんは早くいちごが食べたくて、まだ白っぽいところが残っていても「もうよさそう!」とすぐに取ってしまうタイプのようです。

収穫したいちごは家族みんなで分け合って大事に食べました。味が濃くて甘酸っぱい、特別美味しく感じるいちご。また来年も育てようねって、早くも楽しみにしています。
今月のお気に入り
『いちごハウスのおくりもの』村中李衣作/えがしらみちこ絵/世界文化社じいじのハウスで丁寧に育てられていくいちご。「これよんでたらおにわのいちごもたくさんなる?」と、物語を楽しみつつもいちごの教科書として真剣に読んでいました。

いまむらかな

いまむらかな プロフィール

大学時代に村中李衣先生のゼミで学び、在学中から 3年間、こどもの広場のスタッフとして過ごす。
2016年9月に長女あーちゃん、2018年12月に次女ぷんぷんが誕生。2児の母として奮闘中。

毎月のエッセイは
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