エッセイを読む

2023年03月

コノロケ日記

あーちゃんが幼稚園を卒園しました。この数ヶ月は幼稚園生活の集大成のようなイベントが続き、大きくなったなぁ……と感嘆させられる日々でした。

あーちゃんの幼稚園生活の中で一番最後までモヤモヤ気になっていたのは、自分自身の頑張りが如実に現れるお弁当のこと。業者のお弁当を事前注文しておくことは出来るものの、給食の無い幼稚園なので、基本的に毎日お弁当を作って持たせていました。

サンタさんやお雛様といったキャラ弁に挑戦する日もありますが、元々早起きが苦手なことも手伝って、普段は完全にルーティンワーク。ふりかけご飯かおにぎりに、たまご焼き、ウインナー、ブロッコリーとミニトマト。作り置きの唐揚げかハンバーグ、又は冷凍食品。せめて可愛いピックを刺したり、たまご焼きはハート型にしたり、見た目は工夫しつつも代わり映えのしないお弁当。

時には諦めきれず別の野菜を入れてみて「にがてだった」と残され、はじめてのおかずを入れてみて「なにかわからなかった」と手を付けてすらもらえず……紆余曲折あって落ち着いた結果ではあるのです。それでもSNS で可愛らしく栄養もばっちりなお弁当を見かけると、親としての頑張りが足りないんじゃないかと落ち込んでしまうこともあり……試行錯誤の3年間でした。

全てが報われた気がしたのは、あーちゃんの卒園式後。クラスでの最後のお集まりで、子どもたちそれぞれが親にプレゼントを渡してくれる時のことでした。「みんなお家の方になんて言いながらプレゼントを渡すか考えてきましたか?」先生の声掛けを聞きながら、にこにこ真っ直ぐに私の元へ歩いてきたあーちゃん。

「いつもおべんとうをつくってくれて、ありがとう」

色んなことがあった幼稚園の3年間で一番伝えたいと思ってくれたのが、お弁当のこと。

私にとって最高のご褒美でした。

ぷんぷんの卒園まで、まだまだお弁当作りは続きます。あーちゃんがくれた言葉を宝物に、あと2年、悩みながら楽しもうと思います。

今月のお気に入り

『きょうのおべんとう なんだろな』
きしだえりこ 作/やまわきゆりこ 絵/福音館書店 私が子どもの頃から大好きなお弁当の絵本。 久しぶりに読んでみると、とてもシンプルなお弁当を みんな喜んでいました。気にするのは親だけで、 子どもはどんなお弁当でも喜んでくれるんですよね。

いまむらかな プロフィール

大学時代に村中李衣先生のゼミで学び、在学中から 3年間、こどもの広場のスタッフとして過ごす。
2016年9月に長女あーちゃん、2018年12月に次女ぷんぷんが誕生。2児の母として奮闘中。

毎月のエッセイは
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