エッセイを読む

2022年09月

コノロケ日記

長女のあーちゃんが6歳になりました。6歳ともなればお誕生日パーティもすっかり勝手知ったる様子。8月の中頃ぐらいから「キュアフィナーレのケーキつくってね」と今一番好きな変身ヒロインのケーキをリクエストし、百均に行けば飾りの風船を選び、パーティメニューもチーズつけつけ(チーズフォンデュ)と決め、すっかりセルフプロデュースパーティでした。

そんな今年の誕生日はちょうど台風が近付いてきていたこともあって、あーちゃんが生まれてきた日のことをよく思い出しました。6年前のあの日も、台風が近付いてきていたのです。昼頃に破水してすぐ病院に向かうと、一般外来は台風接近のための休診でとても静かな待合室。普段床に置かれている段ボール箱などが浸水対策で積み上げられた診察用のベッド。ただでさえソワソワしているところに、台風の非日常が合わさって、自分が一体どうなってしまうのかドキドキ落ち着かなかったのを覚えています。結局「まだ陣痛も始まっていないから、生まれるのは明日だね」と一度帰らされ、里帰りしていた実家で母と落ち着かないまま過ごしていました。

ところが、夕方に向かうにつれ陣痛がどんどん進み、再び病院に駆け込んで、あれよあれよと夜の9時にはあーちゃんは生まれてきたのでした。あとから知ったのですが台風の日は生まれてくる赤ちゃんが多いのだとか。初産にしては助産師さんも驚くスピード出産だったのも、台風のおかげだったのかもしれません。

と、思っていたのですが、今回原稿を書くにあたって改めて調べてみると、なんと破水した頃にはもうとっくに台風は消滅していたのでした。夫は新幹線でかけつけてくれたし、冷静に考えれば台風が大したことなかったのはわかるのですが、いつの間にか嵐の中生まれたようなイメージになっていたあーちゃん。誕生日頃に台風が来ると「台風子ちゃん」と呼ばれ、複雑そうな顔をしていたあーちゃん。ちょっと、認識を改めようと思います。

 

今月のお気に入り

『あげる』

はらぺこめがね著/佼成出版社

美味しそうな揚げ物が続々登場するので、姉妹で大騒ぎしながら食べています。久しぶりに行けたこどもの広場で、唐揚げやエビフライの大好きなあーちゃんが選んだ一冊。お気に入りの理由には自分で選んだ誇らしさもあるようです。

いまむらかな

いまむらかな プロフィール

大学時代に村中李衣先生のゼミで学び、在学中から 3年間、こどもの広場のスタッフとして過ごす。
2016年9月に長女あーちゃん、2018年12月に次女ぷんぷんが誕生。2児の母として奮闘中。

毎月のエッセイは
ひろば通信に掲載されています

ひろば通信には新刊の情報やこころがほっこりするエッセイが盛り沢山!