覚えてますか?鉄棒ができない親子のことを。昨年12月のこのエッセイで紹介しましたが、厳密には逆上がりが出来ない男の子と、手が鉄臭くなったりお腹が痛くなるのが嫌だから教えたくない父親がいたことを。
あれ、女の子が得意じゃないですか?小学生の頃砂場に女子が集まって、近くの鉄棒に掴まり小動物のようにクルクル回ってたことを「うまいなぁ」とポカンと眺めてましたが、好きな女の子が回っていると何故かドキドキしたものです。オマセナワタシ。ってそうじゃなくて、鉄棒が苦手なんですよね私。今もって歩道橋の上を歩く際の揺れだけで気分が悪くなるのですから鉄棒なんてとんでもない。目が回って気持ち悪くなる親が子供に大したことを教えているはずありません。ただ最近旭が教えてくれと何度も言うものですから仕方なく散歩がてらに寄った公園で見てやっていました。
近頃の旭君、良く遊び良く食べます。体が益々大きくなり丈夫になりましたが、練習の際お尻を上げるのが一苦労のようです。勢い良く振り上げた足を鉄棒に巻き込むことが出来ればうまくいきそうですが、そのコツを掴み損ねているようで、旭の横で上手に逆上がりをする年少の女の子を恨めしそうに眺めては何度も練習していました。その甲斐あって我が家に吉報が届いたのが2018年10月9日火曜日のことです。前日まで出来なかったのに朝、学校で遊んでいた時突然出来たというじゃないですか!ママにはメールで「ビッグニュースあり」とだけ伝え帰宅した際に報告し、えっと驚くママを連れて近くの公園へ行きました。そこで旭が足を蹴り上げ鉄棒に巻き込みクルっとお尻を回しあげて一回転した時は、三人で手を取り合って喜びました。「あっ君はやればできる!努力は報われるんよ。あきらめちゃいけんよ」と何度も頭をさすって褒めてあげました。よっぽど嬉しかったんでしょう。以来旭は手にまめができるほど毎日鉄棒をしています。が、あの日のママの一言が、こだまのように私の胸に響いています。
「私も・・・・得意やったんよね。」めまいでしょうか。いいえこだまです。
昇より