エッセイを読む

2021年11月

あさひはのぼる

 旭、小学校最後の運動会がありました。昨年はコロナで中止でしたが、今年は何とか開催できて良かったです。但し、コロナ禍には変わりなく、午前中のみ。観覧できる家族の人数制限や、密集を避けるための学年ごとの時間制限も決められ、入退場の動線案内が至る所にあり、運営のご苦労や大変さも伝わってきました。出場する児童以外は基本的には教室に待機しての観戦で、そこから歓声が聞こえていたので、もしかしたら動画中継していたのかも。いつもなら祖父母も交えての賑やかな声援も色んな制限で叶わずBGMだけが景気よく響いていたけど、6年生最後の運動会には変わりなし。彼は上級生なので、ゴールした児童を着順に並べる決勝審判係を務めました。「間違えないか心配。緊張する」と言ってましたが、ゴール近くでビブスを着てテキパキ動いていたので、ちゃんと「お世話係」をしているなと感心しました。

 旭の徒競走の時間になりました。そこで彼は忘れられない思い出を作ってくれたのです。彼の名誉のため大きくは書けませんが、これまで一等賞になったことはありません。幼稚園からずっと。その彼が何と徒競走で「一等賞」を取ったんです。これは我が家の今年の重大ニュース一位になること間違いなしの快挙です。今もって興奮しますから。その激走を振り返ってみますと・・・

 徒競走第二組。赤組旭は3レーン。グランド4分の3を走ります。父と母は別々の場所から撮影のため待機。スタート号砲一閃、6人が飛び出す。レーン中央の旭も先ず先ずのスタート。カーブに差し掛かる手前で3番手。拍手とママの「がんばれあっ君」の声援を背にカーブへ。体を左斜めに傾けながら走る。「よし!そうだ!」と私は心で叫び、「カーブに差し掛かったら体を傾け、目線はゴールに向けろ」とアドバイスした通りに目の前を走り抜ける彼をカメラで追う。カーブを抜けると一位に躍り出た旭はそこから一気にラストスパート。追いすがる後続を振り切り見事フィニッシュ。パパとママも同時に「やったね!」のアイコンタクト。赤組も優勝して「学校創立150年記念運動会」を有終の美で飾ることができたのです。私も興奮して胸が熱くなりました。子供の成長恐るべし。あっぱれ旭君です。

山中昇

山中昇プロフィール

1971年7月14日生まれ。 地元下関の高校を卒業後、東京の大学に進学&卒業。雑誌編集の仕事と、劇団員を経験したのち地元に戻り、1998年地元下関に開局したComeon! FMに勤務。制作部長として番組制作に取り組む。
2008年FM開局当初から一緒に番組を担当していたパーソナリティーと結婚。2010年3月長男旭誕生。1児の父となる。

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