6月末をもってママがCOMEON!FMを退職しました。彼女はこれまで朝の情報番組「海峡朝焼けスタジオ」のメインパーソナリティを21年にわたって務め、「おはようございます。米倉奈津子です」の一声と共に、下関に新しい朝を届けてくれました。放送最終日は私と旭も番組を聴いていましたが、いつもと変わらず話す彼女の声から様々な事が思い出されました。
開局からの同期だった私たちはこの番組を担当することになり、当時のスタッフたちと一緒に「今、下関に必要なことは何だろう」という視点に立って沢山の議論や取材を重ね、その日のニュースを取捨選択し、責任感と使命感をもって番組制作をしていました。幼稚園・保育園児たちの元気なタイトルコールの収録や歩きながら町の魅力を伝える取材をしたり、佐々部清監督の代表作「チルソクの夏」を応援したことや、大好きだった舘ひろしさんにそっと手を握られインタビューできなかった一幕はご愛敬ですが、熱があるにもかかわらず朝早く出社して、急いで新聞のコピーをしながら横倒しに倒れたこともありました。この「朝焼け」は二人が出会い、経験不足ながらも切磋琢磨してお互いを高め、苦労しながら一緒に創り上げた番組です。私の傍で制作意図を理解し、言葉にして届けてくれたのは彼女でした。たくさんの人と出会い、お話に耳を傾け、誠実に、一生懸命下関の魅力を語る彼女からは、誰かのために何かを届けようとする意志と故郷への愛情を感じます。
その姿勢は最終日も変わることなく、お世話になったこれまでの感謝を口にしていましたが、最後の2分間で感極まり彼女が涙したことを私は忘れません。傍の旭がペンを持ってきて「ママ、お疲れさま。21年間がんばってくれてありがとう!」と記し、花束を抱えて帰ってきたママに手渡しました。「朝焼け」から命名した旭には、きっと伝わっていると思います。だって、あさひはのぼるだから。
昇より