エッセイを読む

2020年04月

あさひはのぼる

 新型コロナウィルス拡散防止のため、市内の小・中学校は臨時休業中だ。旭は小5になり仲良しと一緒になって喜んでいたが、4月末まで休業になったため、友達と過ごす時間がなくなり可哀そうに思う。3月からだから2ヶ月になる。5月の運動会も中止になった。授業再開の目処が立てられないもどかしさは家庭も教育現場も同じだろう。国や経済の動向もさることながら、長期化を想定した大衆の心象心理も気掛かりだし、先日学校から不審者が出没したのでご注意くださいとのメールが届いた。メールも便利だが長い休業なので、「お子さんはお元気ですか」と一言連絡頂くだけでも安心するのだが・・・。

 私は開店休業中みたいなものなので児童クラブに旭を預けずに家で一緒に過ごしている。心身ともに健康でいるように規則正しい生活を心掛け、朝の縄跳びやYouTubeのダンスを一緒に踊ったり、絵を描かせたり4年生の復習などをさせて「楽しく」過ごす工夫をしている。旭も北九州市の高校生梅田明日佳君を見習って自学ノートを始めた。自分が気になる新聞記事を切り抜きノートに貼って、パソコンや本で調べたことやイラストを添えている。大したもんだ。学校からは新しい教科書を見ておくように言われているので、この日は社会の勉強をさせた。テーマは世界地図。折角だから以前広場で購入した「世界のシェー!!」を開きながら色々な国を探した。アメリカ、ドイツ、インド、ベトナム、パキスタン、ラオス、中国、スペイン、クロアチア、勿論おフランスも。世界の国々の多様な民族が、街角で、海岸で、草原や寺や砂漠で、銃痕の残る瓦礫の上で、何とも得体の知れないキテレツなポーズをとり、写真家の平沼正弘さんが写している。世界が「シェー!」で繋がったような本だ。ページをめくりながら想像して、妄想して、思いを巡らす・・・「みんな元気だろうか・・・」

 挨拶代わりにシェーをキメて、おやすみ前に「これでいいのだ!」と納得できたなら、世界はもっと近くなるような気がした。冷静と寛容な社会でありたいものだが、このご時世にあっては流石のイヤミも一言モノ申すであろうか。

 「チミたち、いいかげんにするざんす!!」

 お粗末(おそ松)さまでした。

  
昇より

山中昇プロフィール

1971年7月14日生まれ。 地元下関の高校を卒業後、東京の大学に進学&卒業。雑誌編集の仕事と、劇団員を経験したのち地元に戻り、1998年地元下関に開局したComeon! FMに勤務。制作部長として番組制作に取り組む。
2008年FM開局当初から一緒に番組を担当していたパーソナリティーと結婚。2010年3月長男旭誕生。1児の父となる。

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