エッセイを読む

2019年01月

あさひはのぼる

 年末年始皆さんはどのように過ごされましたか。各家庭毎年恒例の過ごし方があると思いますが、我が家では旭が前からやってみたいと言っていた「人生ゲーム」で盛り上がりました。懐かしいですよね。ルーレットの出目によって人生が変わっていき、仮想の人生を楽しむことが出来るボードゲーム。就職して給料をもらいながら自動車の「コマ」を進め、結婚、出産で人物ピンを増やし、マイホームを購入したり株や保険による資産運用などによってお金の出入りがあったりして、最終的には一番多く所持金を得た者が勝利するというあたりアメリカが生んだゲームだと感心するんですが、内容もさることながら子供から大人までがゲームの成り行きに一喜一憂する姿や、その人の本音が「お金」を通してチラッと見える所があって、そこが楽しかったんです。

 お正月に親戚一同で集まりこのゲームを始めた当初「今更人生ゲーム」といった感で孫に付き合っていた祖母が、仮想マネーを手にした途端に顔が活き活きしだしたり、親からお金を搾取する甥っ子の態度に呆れる私の弟が、家を購入するときに傍で見守る奥さんに相談している姿とか(実際にマイホーム購入済(笑)、ゲーム終了間近に「夫婦で世界旅行」のコマに止まり、「結婚10年だったからね。ご褒美」と本当のことを言って笑うママの横で思わぬ出費に頭を抱える私がいたりと、実際の家庭事情と仮想が交錯する上ある意味今年を占うようなところもあって、年明けにふさわしい?催しになりました。

 気になるこのゲームの発起人の旭君はと言いますと、超ご機嫌!色のついたお金が貯まる毎に両替して「大金にグレードアップしていく」優越感に浸り、約束手形を出そうものなら途端に不機嫌になる一方、パンっと手を叩き「ざーます!!」と言うや「ケケケ」と歪な笑い声をあげて周りからお金を奪っていく顔はまさに守銭奴。ママにこっそりクリスマスプレゼントをあげるからとお金をコツコツ貯めた健気な姿は微塵もなく「ざーます!!」顔をするので、悔しくてその口癖は何と尋ねると「スネ夫のお母さんの口癖」だとか…

 身近なセレブがスネ夫のお母さんか…憎めないよね。

 
昇より

山中昇プロフィール

1971年7月14日生まれ。 地元下関の高校を卒業後、東京の大学に進学&卒業。雑誌編集の仕事と、劇団員を経験したのち地元に戻り、1998年地元下関に開局したComeon! FMに勤務。制作部長として番組制作に取り組む。
2008年FM開局当初から一緒に番組を担当していたパーソナリティーと結婚。2010年3月長男旭誕生。1児の父となる。

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