この間ママが家に帰ってくるなり、旭とゲームしながら留守番をしていた私に向かって、「パパは、凄いらしいよ」と言ってきた。何だよいきなりどうしたのと聞くと、今あった同窓会で「うちの旦那トーク」があったんだけどさぁと、パンドラの箱を開けるように話し出した。
そこで世の旦那衆が家でどんな家事・育児をしているかという話になったらしく、大体「ごみを出したり子供と風呂に入る」程度で、「後は?」とママが尋ねると「こんなもんじゃない」と応えたそうな。え?と驚くママに「お宅は?」と聞かれたから「掃除・洗濯するし、朝私がいないときは子どもに適当にご飯食べさせてるよ。お弁当も作るし」と当然のように話すと、「え?凄いやん。うちの旦那そんなことせんよ。たまにしても逆にこっちの手を煩わせるし、してやった感丸出しでイライラする。だいたい手伝うって何なん云ぬん緩ぬん」と、ここでは筆舌に尽くし難いディスりようだったらしく、「奈津子ん所はいいご主人だね」と大層羨ましがられたそうな。
ははーん、そういうことですか。「凄いらしい」と言ってるから未だ半信半疑なのだろう。表情も実感がなくピント合わせの品定めしているような顔をしている。どうやら私は他所のご主人より家事をしていることに気が付いたようで、いやいやどうして。やっとわかってくれましたかと鼻筋がヒクヒクするのを抑えつつ「みんなそうなんじゃないの」とジャブを打つと、「何にもしないらしいよ。だからパパ凄いんだって!私びっくりしちゃった。」でしょうとも!我が意を得たり!とここで私が話し出すと後がややこしくなるので言わぬが花よ(山中家の格言。)そういえば結婚当初遊びに来た母と姉が、私がせっせと家事をしている姿を見て「あの昇が!?台所でお茶碗洗う?料理?はあ?」と驚いていた事を思い出した。ふっと笑った私の顔が得意気でニヤついたと勘違いしたのか。ママがすかさず「旭!我が家は皆で家事を分担して生活するのが当たり前なんだからね。わかった?」と釘を刺した。こういう時の旭は勘がいい。間髪入れず「はい!」とお行儀よく応えた視線のTVにはマリオとクッパが戦っていた。我が余韻を打ち消すように。当たり前田のクラッシー。
躾がよろしいようで。
昇より