エッセイを読む

2019年03月

あさひはのぼる

 3月3日で旭は9歳になりました。この一年で身長が3センチ伸びたそうです。3年生になって大きく成長したことは、一年間一日も休まず学校に行ったことでしょうか。これは初めてのことです。これまで体調が悪かったり、不安で気分がすぐれない時などがあると年に数回休むことがあったのですが、何故でしょうね。彼に尋ねても「知らん。わからん。」とぶっきらぼうに答えるだけ。毎朝5時30分に目覚め仕事に行くママを見送り、朝ご飯食べて支度して7時20分に登校。帰宅後は急いで宿題を済ませ友達と遊びに行きます。就寝時間や色んな約束事を守りながら、自分なりの生活リズムと一週間のサイクルが出来たことが良いのかも知れませんね。

 できることも増えました。たまに宿題も見るのですが、難しい漢字や余りのある割り算やローマ字なども勉強していて、もうこんなところまで習っていたのかと驚かされます。お知らせのプリントやテストは言われないと出さない癖があって少々困らせますが、「また0点取って!のび太!」なんて漫画のように怒ることはなく、勉強もそこそこついていっているようで安心しました。だからこの原稿もある程度読めるようになってますから、うかうかバツの悪いことは書けません。自尊心が芽生えてますしね。

 この間も風呂上りに彼の体を拭いてあげていると、「ねえパパ、僕って足遅い?」と小声で聞いてきました。訳を聞くと「だってマラソン遅かったし…」と昨年末のマラソン大会のことを引き合いに出しました。「あんなに練習したのに何故だろう」というような顔をしています。結果が結果だから何となくそうじゃないかなと思っているようでしたので、「あっ君も練習したけどみんなも練習したんよ。もっと練習したらあっ君もできるから頑張ろうね。」と励ましてあげると納得したようでしたが、果たしてこんな言い方でよかったんでしょうか?

 「怒られるのが嫌だから」人から教わることに抵抗のある彼の中に強烈な自尊心が潜んでいるようでなりません。彼を傷つけずに導くことが出来ると良いのですが、父子の甘えた関係が時として妨げになることもあるでしょうし、一方で「教えを乞う」ことは大切なことです。その見極めが肝心なんですけどね。

 
昇より

山中昇プロフィール

1971年7月14日生まれ。 地元下関の高校を卒業後、東京の大学に進学&卒業。雑誌編集の仕事と、劇団員を経験したのち地元に戻り、1998年地元下関に開局したComeon! FMに勤務。制作部長として番組制作に取り組む。
2008年FM開局当初から一緒に番組を担当していたパーソナリティーと結婚。2010年3月長男旭誕生。1児の父となる。

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