下関市の小学校は、今年から夏休みが一週間短くなった。さらにコロナの影響で7月末まで授業があったことから、結局8月から3週間だけに短縮された。旭はラジオ体操や亀山林間学校に参加したり、彦島の海で泳いだり、地元のお祭りに出掛けた「恒例の夏休み」を送ることができなかったけど、不満や苛立ちを態度に現すこともなく過ごし、10歳の夏休みを彼なりに謳歌した。
お盆を迎えたこの日は早朝から出掛けて、吉見の下関フィッシングパークで釣りをした。私は小学生以来、旭に至っては初めての体験。竿とリールと餌がセットになった「初心者キッド」をレンタルして、いざ糸を垂らすと…。これが入れ食い!ビビビ、ビビビと竿に掛かる独特のテンションが腕に伝わるや否や急いでリールを巻き上げると、何て可愛らしい「豆アジ」が連なって釣れるじゃありませんか。昨夜ママが潮目を見て早朝にして正解!さすがママ!とヨイショするタイミングのはずが、その功労者は俄然やる気が湧いた「にわか釣りキチ三平」君に「魚の針を抜いて直ぐに餌をつけて!」と指示され、「軍手がないから手が生臭い」とこぼしながら魚を掴んでいた。そんな親子のやり取りを気にしながらも、魚は待ってくれなかった。釣れたかと思いきや取り逃がしたり、糸を下ろしすぎて地球に引っ掛けたり、岸に上げた針が勢い誰かの服に引っ掛って往生したり、騒々しくも楽しい時間はあっという間に過ぎた。結局、2時間で104匹釣った。こんなに釣れるなんて思いもしなかった。どうせ釣れんと諦めていた旭が、最後には「俺が一番釣った」と言って得意顔でおにぎりを頬張っていた姿は少年らしく、微笑ましかった。
帰宅してから「104匹アジちゃん」を取り分けて実家に持って行ったり、この日がお誕生日だった横山さんにも「旭が釣ったアジ」をプレゼントした。残ったアジはママと一緒に捌いて、揚げて、全部南蛮漬にして頂いた。日本酒との相性もさることながら、釣った魚は格別に旨かった。
翌朝の山口新聞の釣果欄に「下関で豆アジ3桁も」という記事を見つけた旭が一瞬、「俺たちの仕業だ」という目を光らせたことを、父は見逃さなかった。
昇より

