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2024年09月

よこやまさんがいる!

暑い暑い夏の置き土産のように、よこやまさんが、わが農園にやって来た!山の中に移り住んでからず~っとラブコールしてたけど、この 10 年一度も実現できなかったお泊り会。あいにく今年は、梅もプラムもスーパーグミも、まったく実をつけてくれなかったので、もてなすものは、畑の野菜くらいしかないよなぁ・・・ところが彼女は荷物を置くなり、りえの長靴すぽんと履いてさっさと裏山の緑の中に吸い込まれていった。戻ってきた時には、てのひらに数粒のブルーベリー。もう実はつかないんだとあきらめていたのに、小粒ながら得意げによこやまさんの手の中に納まっているその一粒ずつを見るとなんだかぐっと胸が詰まった。
このひとはず~っとこんな風に数えきれない小さな人たちのかがやきを拾い上げてきてくれたんだっけ。
そのあとは、毎夜出没して私を悩ますハクビシンだかイタチだかタヌキだかわからんものたちのウンチの痕跡を追って、「わかったよ、あの橋の上にも横並びにウンチしているし、ウンチの中身はほとんど木の実だし、ここをあっちに回ってそこを通ってりえんちの裏側に出てくるんだね。」と目を輝かす。「それにしても外の風呂場の前にウンチするなんて気が利いてるわ。湯舟に使ってる時顔を見せてくれないかなぁ~」とウンチを連発しながら屈託がない。
そうそう、こうやってみんなが眉を顰めるような出来事を面白事件に語り直し、いつもひろばに集まるみんなの肩の力を抜いてくれてたんだよなあ。そうして夜が更けると、タヌキの糞噺から那須さんをはじめ亡き友人たちに思いをはせる時間となった。
わたしたちも歳をとった。だけど、すべてを置き忘れてきたわけじゃない。みんなちゃんとここにいる、とこの胸叩きすぎて、ゴホゴホ咳き込む楽しい一夜でした。

それでも修学旅行の夜のように、きゃぴきゃぴと、ふたり(+連れ合いのとらさん)ではしゃぎ回った。

村中李衣

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村中李衣プロフィール

1958年山口県に生まれる。
大学、大学院で心理学、児童文学を学び
就職先の大学病院で
小児病棟にいる子どもたちと出会う。
以後、絵本を読みあう関係が続く。
現在、ノートルダム清心女子大学教授、児童文学作家。

*著書*
[子どもと絵本を読みあおう](ぶどう社)
[お年寄りと絵本を読みあう](ぶどう社)
[絵本の読みあいからみえてくるもの](ぶどう社)
[こころのほつれ,なお屋さん。](クレヨンハウス)
[おねいちゃん](理論社 :野間児童文芸賞受賞:)
[うんこ日記](BL出版)

ひろば通信、こどもの広場HPで
エッセイ 『りえさんの「あそぼうやー」』連載中

毎月のエッセイは
ひろば通信に掲載されています

ひろば通信には新刊の情報やこころがほっこりするエッセイが盛り沢山!