暑い暑い夏の置き土産のように、よこやまさんが、わが農園にやって来た!山の中に移り住んでからず~っとラブコールしてたけど、この 10 年一度も実現できなかったお泊り会。あいにく今年は、梅もプラムもスーパーグミも、まったく実をつけてくれなかったので、もてなすものは、畑の野菜くらいしかないよなぁ・・・ところが彼女は荷物を置くなり、りえの長靴すぽんと履いてさっさと裏山の緑の中に吸い込まれていった。戻ってきた時には、てのひらに数粒のブルーベリー。もう実はつかないんだとあきらめていたのに、小粒ながら得意げによこやまさんの手の中に納まっているその一粒ずつを見るとなんだかぐっと胸が詰まった。
このひとはず~っとこんな風に数えきれない小さな人たちのかがやきを拾い上げてきてくれたんだっけ。
そのあとは、毎夜出没して私を悩ますハクビシンだかイタチだかタヌキだかわからんものたちのウンチの痕跡を追って、「わかったよ、あの橋の上にも横並びにウンチしているし、ウンチの中身はほとんど木の実だし、ここをあっちに回ってそこを通ってりえんちの裏側に出てくるんだね。」と目を輝かす。「それにしても外の風呂場の前にウンチするなんて気が利いてるわ。湯舟に使ってる時顔を見せてくれないかなぁ~」とウンチを連発しながら屈託がない。
そうそう、こうやってみんなが眉を顰めるような出来事を面白事件に語り直し、いつもひろばに集まるみんなの肩の力を抜いてくれてたんだよなあ。そうして夜が更けると、タヌキの糞噺から那須さんをはじめ亡き友人たちに思いをはせる時間となった。
わたしたちも歳をとった。だけど、すべてを置き忘れてきたわけじゃない。みんなちゃんとここにいる、とこの胸叩きすぎて、ゴホゴホ咳き込む楽しい一夜でした。
それでも修学旅行の夜のように、きゃぴきゃぴと、ふたり(+連れ合いのとらさん)ではしゃぎ回った。
村中李衣
