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2025年02月

繋がり

年が明けてあっという間に一月は終わり、二月になった途端、寒さが襲ってきました。朝目覚めたらカーテンの外が明るい。開けてみたらなんと雪国のように真っ白の世界が!普段から雪に慣れていない私は、玄関の外に出た瞬間に滑りそうになりました。

テレビで見る雪国の映像は、今まで私が経験したことのない場面です。軒下まで雪が積もり、道路も見えない。そこを当たり前のように歩く人。車も走っています。こんなに長く生きてきて、今や日本だけではなく世界中のあらゆるところを画面越しで目にする事ができる時代になっていても、自分の体験というものは、その瞬間、その場所に「私」が存在しなければダメなのです。当たり前!ですが、この今の時間、この椅子に座っているのは私だけと思うと、ちょっと貴重な気がしてきました。

先日、下関市豊浦町で講演会が開かれました。こどもの広場から 30 分少し、日本海と畑と森に囲まれた私の大好きな所です。演題は「移住・定住・空き家活用」。昨今の地方は人口減少、高齢化が進み、特に農・山・漁業が栄えていた地域はどこでも担い手不足に悩んでいます。そんな中でこの町で育ち、こどもの広場にもしょっちゅう遊びにきてくれていた少年が今や大人になり、自分の育ったところの現実と未来への取り組みについて話してくれる。それも具体的にわかりやすく。

高校生の頃のままの笑顔、聴衆は町中の老若男女。私が『君』づけで呼ぶには、年齢も大学教授というプロフィールも遥かに高くなっているのだけれど、聴きにきている人たちの多くは今でも『ちゃん』づけで呼ぶのが当たり前の方々。だから会場全体が暖かく、みんなが繋がり合っているようでした。

個人が大切!と言われ、個人情報は出してはいけない、何にでも『ハラスメント』という言葉がくっついてしまようになった現代に、地方の小さな地域に脈々と流れ続けているお隣さんとの繋がりです。

私はこの椅子に座っているけど、一緒に横に座る?それとも私の膝に座る?いやそろそろお世話してもらう立場でした。

横山眞佐子

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