エッセイを読む

2021年09月

食 用

 我が家の花壇に今ある植物。右からサツマイモ、里芋、ジャガイモ、シソ、パセリ、オクラ、モロヘイヤ、バジル、パクチー、セロリ。そして花壇のレンガ境を超えた庭にヨモギ、ハコベ、スイバ、フキ、ドクダミ、タンポポ、ミント、ミョウガが足の踏み場がないほどの勢いです。

 二日や三日の野菜に困らないでしょう。そんな荒地のような庭に様々な昆虫や生き物も沢山います。ウッカリ草抜きなんかすると、くっついて出てきた巻貝に惹きつけられ調べているうちにこれ「オオクビキレガイ」という外来種でついこの前まで北九州までしか確認されていなかった!ということが分かって驚いたり、床下に住み着いているミツバチを狙ってやってくるスズメバチを網で捕まえて排除したり。昨年40匹近く捕獲。皆さんにこんな事を言うと「いい加減にしなさい!」と言われそうですが。

 私の本箱に一冊の図鑑があります「食用植物」(保育社のポケット図鑑)1センチくらいの厚さの文庫本サイズ。本当にポケットに入るくらいですが定価150円。昭和28年の発行です。手書きの挿絵葉のつき具合から断面図まで一番知りたい情報が全てわかりやすく描かれています。小学生になった􏰄かりの私にこの本をくれたの尾崎さんという高校生のお姉さんです。尾崎さん「児童百科大辞典」という本も持っていて好きなように読ませてくれました。これ玉川大学が出版したものですが、子どもの私ものすごく夢中になりました。ページを捲るたびに新しいことにであってしまうのです。さらに、彼女私に初めての顕微鏡体験をさせてくれたのです。見せてくれたの人間の皮膚。虫眼鏡で葉っぱの裏を見るのが大好きになりました。

 子ども時代のちょっとした体験大人になっていく間に忘れてしまう事ばかりでしょうが、それぞれの子どもの感受性にぴったりハマる何かがあった時、なんだか「わたし」の基底部に色が添えられたような気がします。

 そろそろ芋掘りですが、皆様をご招待できません。我が家の花壇畑一株限定ですから、取り放題のミントならお分けできます。

横山眞佐子

いままでのエッセイを見る

バックナンバー

毎月のエッセイは
ひろば通信に掲載されています

ひろば通信には新刊の情報やこころがほっこりするエッセイが盛り沢山!