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2018年01月

一年の始まりに

1995年1月17日に発生した阪神淡路大震災から23年。お正月気分の抜けた頃、その時の事が報道され、私たち離れて暮らすものは、いかに人間が時間の中に押し流されてしまい大切なことをすぐに忘れてしまう事かと情けなく思う。今年のテレビで当時幼かった人たちの23年間のドキュメントがあり、当時一歳にも満たなかった子、5歳で家族の中で一人だけ助かった子などのその後の心の一端を見て、心が破れそうになってもなんとか生きていこうとする強い決意と希望を感じ、泣きました。生と死が一瞬で決まってしまう。東日本大震災でも、戦場でも。生まれて、生きて、死んでゆく。その間に様々な事があっても、生き切って欲しいと願う一年のはじまりだった。

レイチェル・カーソンの書いた「センス・オブ、ワンダー」という私の好きな本がある。薄くて直ぐに読めるののに、ページを開くごとに〔美しいもの、未知のもの、神秘的なものに目を見はる感性〕が呼び覚まされる。甥のロジャーを連れて海辺や森の中を探検し、あらゆる自然界の驚異と美しさを体験させるというもので、それは赤ん坊のロジャーを荒れた海辺につれて行くところから始まる。レイチェルは「沈黙の春」という本で環境汚染と人が自然に対して犯す破壊の実態を書き反響を呼んだアメリカの海洋科学者で、ガンに侵されながらこの本を書き上げる。死と隣り合わせになりながら、なお自然の美しさと命の悦びを伝える彼女に励まされる。と寝ながら再読していて朝になって、今日は七草がゆの日だった!と気づいた私。困った。庭に出てあちこちみていたら、ハコベ見つけた!ナズナも植木鉢に勝手に生えてる。ホトケノザの小さな葉の側にタネツケバナもあった。これもいいね。タンポポもあるし、フキノトウも見つけ。後は大根とカブは冷蔵庫に。

結局春の八草になったけど、美味しいお粥出来上がり。いただきます。

人間が引き起こす破壊や自然災害にも負けず、何もなくなったように見える地面の下には沢山の新しい命が隠れている。「ヒト」も「ヒト」に命を手渡し貰った命を精一杯生きる。一年の始まりです。良い一年を!

横山眞佐子

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