エッセイを読む

2023年05月

膝近くまで伸びている雑草園になっている我が家の庭。隅っこに南天の木があります。一年一回お正月のお節料理の飾りに葉っぱをいただきますがその他はほったらかし!

今日ふと見たら幹に何か白いものがビッシリついています。「何?」と思った途端にマジマジ見ずにはいられません。足元の植物、モゾモゾ動いている生き物、木の上で鳴いている鳥、忙しい最中でもついつい確認せずにはいられない私の癖。

「気持ち悪い!」と思うより先に触ってみる。柔らかい。1センチにも満たないけれど顔みたいな頭?の下はちょっと羽みたい。ポロリと落ちたのを拾って見てもよくわかりません。中身はどうなっているのか、ごめんと言いながら棒の先で半分に。中から赤いものが。気になる気になる。

「こどもの広場」の本箱を見ていたら「きらわれ虫の真実」(太郎次郎社エディタス)という本が目に入り、開いた途端に我が家のフワフワ虫が目に入ってきました。すごいピッタリ。イセリアカイガラムシという名前です。カイガラムシ?中から出てきた赤いのはうじゃうじゃの幼虫でした。

ここらで皆さんはきっと「気持ち悪ーい!」と思ってますよね。でもしょうがないです。見つけたら確かめずにはいられないのですから。

体の弱かった子ども時代、友達と走り回って遊ぶことがなかなかできなかった分、身近な場所で動いているものを「何かな?」と見るのが癖になってしまったのでしょうか。雨戸の中にトグロを巻いてる青大将と目があったり、蝉が殻から出てくるのを夜じゅう見ていたり、植物はとりあえず匂いを嗅ぎ、ちょっとかじって味見したり。今でもその頃のままなのです。あまり意識しないのにそうせずにはいられない、気がついたらまたやっている・・・それがその人の癖なのでしょうがきっと同じことを繰り返しているうちに無意識のうちに身についてしまうのでしょう。

「暇な時には手近の本に手を伸ばす。忙しい時におもしろい本に引っかかって舌打ちをする。・・・つまりは読書癖というものではないだろうか・・・」と作家の池澤夏樹さんが著「読書癖」に書いています。癖は素晴らしい!私がポンと置いていた本がいつのまにか真っ直ぐキチンと並べられている。誰か「真っ直ぐ癖」の人がこどもの広場にいるのかなあ〜。

横山眞佐子

いままでのエッセイを見る

バックナンバー

毎月のエッセイは
ひろば通信に掲載されています

ひろば通信には新刊の情報やこころがほっこりするエッセイが盛り沢山!